できることからはじめよう。転職会計士のはじめの一歩(vol.4)

第4回は転職前の自分に言い聞かせたい転職前に意識しておいた方がよかったと思うことをご紹介したいと思います。
第1回~第3回の配信は会計士として転職してからの実務を解説したため理解不足の内容もあったかと思いますが、今回は転職希望者に共通してお伝えできる内容ではないかと思っております。
※弊社は転職斡旋や人材紹介事業等は一切行っておりません※
今回の投稿は、実務的な内容のご紹介というよりは中休みのコラムとしてご笑覧いただければと思います。

転職する時のマインド

27歳で監査法人での勤務が4年半、ベンチャー支援が1年という状態で転職を意思決定しました。
当時の私は監査業務から離れて新しいチャレンジがしたいという気持ちが強くなっていました。
特に、IPO準備をしているクライアント先を訪問する度に「自分も事業会社の中に入り、IPO準備をしてみたい」と思っていました。
その理由としては、クライアント先の社員の皆さんがIPOという共通の目標に向かっている姿がキラキラして見えていたからでした。
そのため、当時の私は「IPO準備をプロジェクトリーダーとして進めたい」という一心で、業種や事業規模は問わず転職したいというマインドでした。

その様なマインドの中で、ベンチャー支援を行う中で勉強会で講師として登壇する機会を得ました。
第1部として事業計画策定勉強会、第2部として先輩経営者から学ぶ会という内容でした。
結果として、その第2部の先輩経営者に登壇した前職の株式会社リプライスの星山社長に惹かれ、IPO準備の責任者として転職しました。

「業種は問わない」はそれでよかったのか?

上述に、転職を検討する当時の私のマインドは「業種や事業規模は問わない」というマインドだったと記載させていただきました。
また、私が事業会社側として面接をする際にも応募者で「業種を問わない」という人が多くいました。

しかし、振り返ると私は「業種」の希望は重要だと感じています。
管理部門が行う業務は、比較的標準化されているとは言え独自性は必ずあります。
その独自性は、業種に紐づくからこそ、興味関心がない業種で、標準化されていない業務があるとストレスに感じてしまうと思います。
また、マーケット規模の大きさを分析するために公表データを探すという地味な作業もあります。
公表データとなる文献を調べたり、ネット情報の信ぴょう性を検証したりするのですが、もし全く興味のない業種・マーケットだと苦行になると思います。
逆に希望する業種である場合には、業務の独自性自体がその業種の理解を深めることに繋がりますし、マーケットを調べることも自らの関心事の一環にすることができるので楽しむことができると思います。

私の転職先は「住宅」という業種で、さらに「中古住宅を活かす」という業種でした。
私はSUUMOで分譲マンションや賃貸住宅を日頃から見るのが好きです。(転職してより興味を持ったという側面もありますが、元々間取りを見るのが好きでした)
また、私は倹約家で、もったいない精神が強いので、「今あるまだ使える住宅を活かす」というのは性格的に合致していました。
そのため、財務・経理・総務・法務・システムという幅広い業務を所管を行っていた時も、経営企画としてマーケット分析したりするのも、住宅・不動産をより深く知ることができると楽しめていました。

この様に、私は幸いにして興味関心のある業種と巡り会うことができましたが、転職をご検討の際には「この業種に自分は興味関心があるのか?」というのは自問自答いただいた上でご検討いただければと思います。

「誰と働くか」は大事。転職前にできるだけ多くの社員と会って話してみる

私が転職する際、星山社長に「うちに来て、IPO準備を手伝ってくれないか?」と誘っていただき、二つ返事で「はい、行きます」と意思表明してから半年後に転職しました。
振り返るとると若い時の勢いだったと感じています。
転職した後に実際に仕事をするのは、社長よりもその他の経営陣や社員と一緒に仕事をする時間が長かったです。
社長だけに惹かれて、その会社で働く社員がどういう人なのかを知らずに転職するのは危ういと振り返ると感じています。

幸いにしてリプライスという会社が「誰と働くか」ということに強くこだわり、チーム意識、仲間意識が強い会社でした。
そのため、リプライスで働いている社員は「良い人」が多かったです。
頑張っている人を助ける、一緒に課題を解決するというマインドが強かったので、私がIPOに向けて頑張っている姿を見て自主的に「何か力になれることはありますか?」という声を掛けていただくこともありましたし、「IPOのためには手間が増えるけどやらなければいけないから我慢して頑張ってほしい」と言うと協力してくれました。

なお、私がリプライスの社員に始めて会ったのは、入社する1週間前の全社員が集まるキックオフに参加した時でした。
その時、私は全社員が経営理念を唱和する姿や、表彰を受けて喜ぶ姿、競い合ったチームが称え合う姿を見て、一瞬で「この会社好きだ」と思えました。
(監査法人時代の私は、経営理念を記憶も唱和もしたことはなく、表彰という概念もなかったので、逆に異様な光景に感じたくらいでしたが、その姿に魅力を感じたことを鮮明に覚えています)

私は幸いにも良い人が多い会社に転職できましたが、もし入社1週間前に社員と始めて会った時に「聞いていた会社と違う」と思ってしまったらゾッとします。
また、社員のチーム意識が低く「私は定時で帰ります」「私のミッションではないので」と言われてしまったとしたら、「仲間と一緒に上場したいから頑張るんだ!」と奮起することができず、心が折れてしまっていたと思います。
そのため、転職を検討している場合には、転職前にできるだけ多くの社員と事前に接していただくことをオススメさせていただきます。

まとめ

なぜ弁護士ではなく、会計士を選んだのか、というのが「業種」の話。
全国大会を目指す学校で部活するか、そうでない学校で部活するか、というのが「誰と働くか」の話。
と読み替えていただくと、もしかするとイメージがより付くのではないでしょうか?
(良い悪いではなく、自分の選択で何を重要視するのかという話です)
または「好きこそ物の上手なれ」「環境が人を育てる」という表現にも変えられると思っております。

この投稿では転職を決意した時のリプライスを中心に記載を行っていますが、経営統合した後に一緒に働くことになったカチタスのビジネスや一緒に働くチームも本当に良く、本当に会社にも人にも恵まれたと感じております。
運よくその様なご縁をいただきましたが、正直なところ転職までのプロセスは反省点が多かったので、本投稿がキャリアチェンジを検討している方に、少しでも参考になる経験談がお伝えできていれば幸いです。

過去のアーカイブはこちらからご確認ください。

コメントを残す